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元きょうだい児です。

神奈川県央きょうだいの会・代表のブログ

「ダギー・センターモデルから学ぶ遺族支援」講演会‐2

こんにちは★

今回は、講演会で講師が実際にお話した内容についてお伝えします。


『(前略)

グリーフケアは、全ての子どもたちが必ずしも同じ回復力があるとは限りません。
ちなみにアメリカでは自死率が高く、アジアでは韓国が最も自死率が高いそうです。

グリーフ(喪失)体験した子どもが、グリーフを体験していない子どもとはどのように違うか?

参考として、下記に挙げた7項目のリスクがこちら。
ちなみに前者は、3倍から10倍ほどのリスクを背負ってます。

1.うつ病、うつ症状になる確率が高い。

2.身体的病気になりやすく、免疫力に強く影響するので風邪もひきやすい。
また、注意力欠如から引き起こすケガも多い。
(ダギー・センター内で実際にあった例:足にギブスを付けた男の子、当初は遊んでいる最中にケガをしたと話していたが、実は父が亡き後、周囲から全く相手にされなくなり、ケガをしたら相手にされると思い、周囲の目を引く為にわざとジャングルジムから落ちたと告白。)
3.学校での成績が著しく低下しがち。

4.常に不安感に襲われやすい。

5.自分に自信を無くしてしまう(自信喪失)。

6.自己コントロールの低下(自分ではどうしようもない)。

7.将来に対する希望が持てなくなり、他者との関係を作りにくい。
また、薬物やアルコールにも走りやすい。


以上の7項目は早急なグリーフケアをしない限り、リスクはさらに高くなります。
また、親の離婚や刑務所への収監、親や家族の精神疾患についても、死別と同様の影響をもたらします。

以上のような状況に置かれている子どもと向き合うのは、とても大切なことです。
周囲からは「子どもたちと向き合うのは大変でしょう…」と言われますが、自分は逆に彼らに学ばされ、教えられています。

1979年にカンボジア難民への支援を機に、支援者としてのキャリアをスタートしました。
その後、ベトナムの難民支援を経て、今はダギー・センターの活動に携わっています。
初来日は阪神大震災(1995.1.17)の数か月後です。
東日本大震災後も支援活動に奮闘しました。

グリーフケアでは、

「忘れなさい」
「前に進みなさい」

といった命令口調ではなく、

「悲しみと共に生きる」
「気持ちに寄り添いながら遺族の話を聞く」

といった共感を持つことが大切です。

辛い体験をした後に、自分の体験を話す。
そして、なぜその体験をしたかを理解するのが大切です。
死別を体験した子どもが、自分の力で意味を導き出せるようにする。
その経験を健康的な生活につなげるのが、グリーフケアの役目です。
PTG(トラウマ的体験の後の成長)という言葉の通り、成長には痛みが伴います。
【心的外傷後成長(PTG)とは?|「うつ」の心に癒しを。】
全ての支援団体が、遺族にとって必ずしも良い団体とはいえません。
中には寄付金集めを主体とする団体や、現地(難民キャンプ等)では何枚か写真を撮影するだけで、宿泊場所は5つ星ホテルといった団体があります。

また「自称・専門家」のいる団体もあります。
「トラウマを治します!」と豪語する団体は危険です。
それに、医者や看護師が必ずしもグリーフケアのトレーニングを習得している訳ではありません。
もちろん、真摯に支援に取り組む側でも、常に試行錯誤は続いています。

「故人の写真や遺物を片付けなさい(処分しなさい)」
「故人の名前を公に出さない」

といった、間違った方法でケアを受けた遺族も少なくありません。
(実際にあった例:とある精神科医のアドバイスで、亡くなった夫が生前注文した椅子を受け取り拒否せざるを得なかった女性がいた。その後、子どもたちが「お父さんの椅子に座りたかった」と口々に言ったことで、女性は初めて間違ったアドバイスにハッと気づいた。)
医者や看護師の全てを批判している訳ではないのですが、時と場合によっては、間違ったアドバイスをすることもあります。

支援団体の運営形態にも様々な問題が多いです。
それから、メモリアル(追悼記念式典等)ごとのグリーフプログラムも、まだまだ少ないのが現状です。

精神的疾患は長期的なグリーフについて、必ずしも良い影響を与えるものではありません。
精神的疾患の診断基準の公表には多くの議論を要します。
グリーフを体験した大人や子どもにうつ症状が出た場合、向精神薬を与えるといった診断も増加します。

WHO報告では、40秒に1人→20秒に1人の割合でうつによる自死が起きています。
過去には研究者監修の下で6年間、決められたプログラム(カリキュラム)を12週間、自死遺族に実施させました。
その結果、残念ながらほとんど効果は見られませんでした。
効果がみられた子どもと、全く効果がない子どもにハッキリと分かれ、中にはネガティブな反応のある子どももいました。
上記の結果を元に、プログラムは一人一人の子どもたちに合わせるのが必要とわかりました。

数年前、ダギー・センターの建物が全焼した際に気付いたことをお話しします。
「いざという時、何かあった時は助ける」と豪語した人は来ません。
逆に本当は来て欲しくない人や、全く期待していなかった人が来ます。

再建後は、再び前に進むことができました。
だけど、火災時の体験を決して忘れる事はしません。
再建したダギー・センター内には、自死遺族の子どもたちは医者になりたがるといった、実体験の再認識をさせる為の「病院の擬似体験部屋」や、様々な仮装ができる「着せ替えの為の部屋」も新たに作られました。

最近では、末期がん患者、これから死を迎える人がいる家族のケアを始めています。
子どもたちはできる限り来てもよいという、大抵12回程度のケアプログラムです。

実は以前からニーズは高く、地元ホスピス団体の差別化を図った上で、子どもたちが「患者の死の前にこんな事を知っていたら…」という意味合いで開始しました。
重要なポイントですが、このプログラムでは患者本人は参加しません。
まだ開始したばかりで、実は次が2回目です。

(後略)』

私自身、幼少期にグリーフを体験しているので、今回のお話はとても他人事とは思えず、終始真剣に耳を傾けていました。
当然ながら、上記に挙げた7項目にも全て該当しています。

今のグリーフを体験した全ての子どもたちに、グリーフケアが行き届くのを心から願っています。


megumi

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